このたび、長寧区の企業である西井科学技術が、上海空港の移動式FOD（滑走路異物）巡回検査装置プロジェクトを見事に落札し、上海浦東国際空港において、世界初となる「AI＋自動運転＋FOD検知」の応用モデルを構築することとなった。

本プロジェクトでは、新エネルギー自動運転車両「Q-Tractor P40」を導入し、FOD検知レーダー装置と高度に連携させる。さらにAIによる異物認識アルゴリズムを活用し、「レーダースキャン＋AI識別」のフルチェーンソリューションを構築することで、空港滑走路上の異物を全面的かつ高精度に、そしてインテリジェントに検出することが可能となる。将来的には、浦東空港が自動運転によるFOD防止・制御技術のイノベーションのベンチマークとなり、航空安全のスマート化に新たな原動力をもたらすことが期待されている。

民航局が複数の文書によりFODスマート検知技術を推進している

FOD（Foreign Object Debris）は航空安全上の重大な潜在危険であり、ネジ、石、金属部品などが含まれ、エンジン故障やタイヤ破裂といった事故を引き起こし、多大な損失をもたらす可能性がある。現在のFOD防止・制御は主に人力による巡回検査に依存しており、天候や人員の制約などの影響を受けやすく、小さな異物の見落としや巡回の非リアルタイム性といった問題が存在している。

中国民用航空局は近年、『空港無人運転設備応用ロードマップ（2021-2025年）』、『外来物防止を全面的に強化するための9項目の措置に関する通知』、『空港舗装面異物検知装置技術要件』、『輸送空港外来物防止管理弁法』などを発表し、トップレベルの設計から無人運転設備やスマート巡回検査技術の応用を奨励し、FOD自動検知技術の普及に対する政策的支援を提供している。

FOD自動検知技術の導入により、検出の効率、精度、環境適応性を効果的に向上し、データ面では空港がFODの発生傾向、種類および分布状況を把握することを支援し、FOD制御における空港の業務レベルの向上が図られている。現在、FOD検知装置はバンクーバー空港、ボストン空港、シンガポール・チャンギ空港、北京大興国際空港、鄂州花湖国際空港など、国内外の空港において導入・運用されており、自動化技術がFOD防止において高い有効性を持つことが実証されている。

4つの中核的な機能が空港FOD巡回検査を支援

西井科学技術が今回落札した新エネルギー自動運転牽引車「Q-Tractor」は、物流シーンに基づき、正方向で開発された新エネルギー知能運転ワイヤ制御シャーシを採用しており、空港、工業団地、物流センターなどのシーン向けに設計されている。現在、「Q-Tractor」は香港国際空港、香港エアカーゴターミナル（Hactl）、成都双流国際空港の四川航空貨物ステーションに導入され、「再現可能かつ拡張可能」な空港無人輸送ソリューションが構築されている。

今回、上海浦東国際空港に「Q-Tractor」が導入され、AI検知装置と自動運転巡回技術が深く融合されることで、FOD検出の全プロセスにおけるインテリジェント化レベルをさらに向上し、FODリスクの早期発見率が高まり、滑走路安全管理を従来の方式から「スマート駆動」への転換を促進する。

Q-Tractorは以下の中核的な能力と機能を実現できる

環境認識と作業実行：マルチセンサー融合技術を採用し、360°で複雑な環境正確に認識できる。自動発進・停止、車線維持、交差点通過などの機能と組み合わせることで、FOD巡回作業を効率的に実施する。

航続距離と適応能力：200kmの航続距離と急速充電システムを組み合わせることで、長時間の安定運用が可能である。先進的なL4レベル自動運転能力を備え、空港の実際の作業シナリオに深く結合できる。

空港全域高精度マップと電子フェンス：滑走路、誘導路および周辺施設環境をリアルタイムかつ高精度に認識でき、マップの動的更新やオンライン保守に対応し、空港レイアウトの変化に効果的に適応できる。走行エリアを厳格に制限することで、車両が作業ルート外の危険エリアに進入することを防止できる。

ACCタスク管理：巡回検査タスクの全プロセスをデジタル管理できる。これにはタスク承認、巡回検査管理、車両状態のモニタリング、作業記録の追跡および統計分析が含まれ、、空港におけるFOD防止・制御のスマート化レベルと運用効率を向上させる。

空港滑走路のシナリオにおいて、Q-Tractorは、FOD検知専用レーダーの搭載とインテリジェント検出作業を安定かつ確実に実施し、「人的防御」から「技術的防御」、「受動的対応」から「能動的予警」への移行を実現し、航空運用の安全を守るものである。

中国国内で「安全・グリーン・スマート・ヒューマン」の4タイプ空港建設が推進される背景の下、、西井科学技術の革新的な取り組みはこの理念と高度に一致している。今回、同社のQ-TractorがFOD検知レーダー搭載車両として上海浦東国際空港に導入されたことにより、「AI＋自動運転」によるFOD防止の新たな応用が開拓されただけでなく、本技術が複雑な空港環境においても高い信頼性を有することが証明された。これにより、スマート航空への重要な支援が提供され、スマート空港建設の深化が促進された。